白あん外郎饅頭
外郎(ういろう)の皮で白あんを包んだ和菓子にはいくつかのバリエーションが見られますが、最もよく目にするのは秋の七草のひとつである撫子をモチーフにしたものです。
ピンクの皮が美しく、さっぱりした甘みのお菓子は暑さが収まり始める処暑にピッタリと言えるでしょう。秋の七草は春の七草とは異なりそのものを食べることをしませんから、このような和菓子にしつらえて頂くのも楽しいですね。冷たく冷やしたほうじ茶で頂くと一層美味しいでしょう。
一工夫するなら、水出しほうじ茶にすれば、さらにお菓子とよく合うなめらかな味のお茶が楽しめます。普通の倍量から3倍量程度の茶葉に、浄水器を通した水か軟水系のミネラルウォーターを注ぎ、5分程度抽出すれば出来上がりです。濃さは好みで調節して下さい。
葛餅
写真:くず餅
葛餅も夏場にはいろいろな種類が登場します。その中で、うぐいす餡を葛粉で包み上の方を藤色に染めたものは、秋の七草のフジバカマをモチーフにした生菓子です。
うぐいす餡はグリーンピースを茹でて蜜で味付けした漉し餡で、春をイメージした和菓子によく使われますが、このように葛饅頭と組み合わせることで初秋の雰囲気を醸し出すこともできるのです。
葛餅はツルッとした独特の舌触りがあり夏向けのお菓子ですが、うぐいす餡の少しコクの強い味が初秋の雰囲気を感じさせてくれるでしょう。
このお菓子には夏の名残として麦茶がよく合います。もちろん冷たく冷やした麦茶は美味しいのですが、沸かしたての熱い麦茶も悪くありません。熱い麦茶は香りが強いため、餡を使ったお菓子ともいい組み合わせになるのです。
※葛餅について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-葛餅」を参照してください。
柚子乳菓
柚子乳菓は白あんに柚子を入れた柚子餡を、ミルクの入った乳菓の皮で包んだ和菓子です。乳菓の皮はしっとりとした食べ心地で、甘みもほのかで柚子餡を引き立ててくれます。
処暑は実際の柚子の収穫時期よりも早いのですが、柚子は秋の季語ですし、暑さが収まるとされる処暑には季節感としてピッタリのお菓子と言えるでしょう。
2017年頃からは、特に色や香りの良い高品質なゆずが農林水産省の地理的表示保護制度(GI)に登録されたこともあって、これを使用したものが作られるようになってきました。
柚子乳菓には熱いかぶせ茶がよく合います。かぶせ茶は「熱湯玉露」とも呼ばれます。煎茶並みの熱いお湯でいれると爽やかな味が楽しめるもので、まろやかな柚子乳菓には特によく合うのです。また、薄めの水出しコーヒーをブラックで頂くと、意外に柚子乳菓によく合いますから試してみてもいいでしょう。