和菓子辞典

黄味時雨の特徴・歴史・味

写真:代表的な黄味時雨

特徴

『黄味時雨』は『黄身時雨』とも書かれるように、白餡に卵の黄身を裏ごししたものや卵黄をまぜたものが使われています。

ほとんどの場合、この黄身餡でこし餡を包んでいるため、見た目は柔らかな色合いの黄色になっています。まれに、この黄身餡でこし餡を包んだ一般的な『黄味時雨』とは逆に、中身と外側が入れ替わっているものもあります。

黄身餡は裏ごししたあとに微塵粉(みじんこ)、もしくは上新粉を混ぜるのですが、このときにさっくりと混ぜ、ねっとりと混ぜないことが、出来上がりの表面の違いになってきます。

出来上がった黄身餡でこし餡を包み、蒸して作るため、蒸しあがったときに表面の黄身餡の部分にはひびが入ったようになります。このひびのすき間から紅色の生地が見えるような作りになっている『黄味時雨』もあります。

また、抹茶で作った生地がひびのすき間から見える作りにしたものを、その色合いが菜の花をイメージさせるため『菜の花時雨』と名付けている店もあります。

歴史・由来

『黄味時雨』は、表面のひびの様子が日本の雨の情景の1つである、バラバラと降ったり、止んだりする通りすぎる(しぐる)雨、時雨が降るときの空の様子に似ていることから、時雨を使って名付けられたという説があります。

その通り雨のあとに雲のすき間から光が差し込む様子を、黄身餡のひびのすき間からこし餡が見える形で表現しているともいわれています。

古来から日本で食べられていた和菓子ですが、桃山時代に朝鮮から渡来したという説が有力です。丸めた形の黄身餡のものは『黄味時雨』といわれますが、餡を蒸して同じような作り方をしても、細長い形の和菓子で棹者という形になると『時雨羹』(しぐれかん)と呼ばれる和菓子になります。

また、栗は雨が降るように上から落ちてくるため、栗まんじゅうを『時雨』『栗時雨』と呼んでいる店もあります。

イラスト:おいしそうな黄味時雨

風味・味

和菓子では卵はあまり使われません。その中にあって、黄身餡は和菓子には珍しく、卵の風味、特に卵の黄味の味が感じられる和菓子です。

とはいえ、白餡に混ぜ込まれているので、ほんのりと卵の黄味の味わいがする甘い餡というものが多く、中に包まれたこし餡の味を消してしまうほど濃い風味ではありません。

黄身餡の食感は、そのお店、つまり職人の個性によって少し違いがあります。口に入れるとふわりと溶けるような軽い食感のものもあれば、ほろほろとした食感のものもあります。

夏に食べる場合など、冷蔵庫で冷やしてから食べるとしっとりとした感触が増し、常温で食べたときと異なる食感が楽しめます。店によっては小豆で作ったこし餡のほかに、栗餡、梅餡などのバリエーションがあり、それぞれ黄身餡の生地との絶妙なハーモニーが感じられるでしょう。

 

和菓子分類

製法での分類:蒸し物

水分量分類:生菓子

主な材料

こしあん、卵黄、上新粉、餅粉

※一般的な材料を記載しています。詳しくは製造元に問い合わせてください。

カロリー(概算)

未調査

 

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