和菓子辞典

菱餅の特徴・歴史・味

写真:代表的な菱餅

 

特徴

菱餅は、名前の通り、菱形に成形された餅菓子の一種です。

多くの場合、紅と白と緑の三色に着色された餅を重ねて供え、ひな祭りのお祝いの際に用いられます。

餅菓子の一種ですが、材料は着色用の食紅やヨモギを除き、普通の餅と変わりません。そのため、食べる際は、加熱したうえで醤油やきな粉などで味付けを施すのが普通になっています。

また、近年では餅ではなく、ようかんやおこし、ゼリーなどのお菓子を菱形に成形した代用品が多く使われていますが、これは、ひな祭りのお菓子として手軽に食べられる物が受け入れられたのが大きな理由です。

餅のように加熱する必要が無く、子供だけで扱うことができるのも、普及に繋がっています。ひな人形のセット商品によっては、菱餅の形を模した、プラスチックや木で作られた模型が付いている物もあります。

 

歴史・由来

ひな祭りの際に菱餅をお供えするのは、女児の健康や安産を祈願する意味が込められています。

菱餅の三色のうち、紅は健康、白は清浄、緑は多産や安産を意味します。いずれも、古来の伝説や神話に由来した縁起物であり、ひな祭りの際は、祝福される女児が菱餅を食べて健やかに暮らせることを願う流れになります。

菱餅が現在の菱形になったのは、江戸時代になってからですが、菱形を取っているのは、繁殖力が強い植物の一種である菱の種の形を模しているとされる他、四角形を長く伸ばした形である菱形にして、長寿や繁栄を願う意味を込めたとされています。

また、日本では、古くからお祝い事の際に餅を食べる風習があったため、女児の健やかな成長を願うひな祭りでも同様に餅を食べるようになりました。

昔の日本では、女性は別の家に嫁いで双方の家の繁栄を担う存在とされたため、様々な願いが込められた特有の形状である菱餅が出来上がった次第です。

イラスト:おいしそうな菱餅

 

風味・味

菱餅は、着色に用いる材料を除いては、普通の餅と同じもち米で作られています。そのため、味は餅と変わりません。食べ方も、焼いたり雑煮の具にするなど、普通の餅と同じなので、特別な作法などを注意する必要が無いのが特徴です。

地域によっては、砂糖や餡子で味付けされている菱餅もありますが、基本的には、加熱の際に自分で味付けを程して食べることになります。

自分で菱餅を作る際は、普通の餅と同じ手順で仕上げることができます。

緑の餅はヨモギを入れるのが無難な方法です。紅色の餅は古来からの方法に倣えば、クチナシの赤い実で着色するのが正解ですが、市販の食紅で代用しても問題はありません。

味付けについても、個人の好みで工夫することができるので、甘味を強くしたり醤油の香ばしい風味を活かすなど様々な方法を選ぶことができます。

 

和菓子分類

製法での分類:生菓子

水分量分類:餅物

 

主な材料

もち米、よもぎ、食紅

※一般的な材料を記載しています。詳しくは製造元に問い合わせてください。

 

カロリー(概算)

3枚1組分で、352Kcal

 

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