芒種とはイネ科の植物の種をまくのに適した時期のことであり、6月6日頃になります。もうすぐ梅雨を迎え気温や湿度が高まってくる時期なので、涼しげな気分になれる和菓子が良いでしょう。
冷たくサッパリと食べられる麩まんじゅう
麩まんじゅうは、生麸の生地にあんこを包んだ和菓子です。笹などの葉っぱで巻かれていることが多く、爽やかな和の香りも楽しめます。
もっちりとした食感となめらかなのどごしが特徴で、サッパリと食べられます。つめたく冷やして食べると美味しく、熱いお茶との相性も抜群です。水分が多く含まれていてみずみずしく、高タンパクかつ低カロリーなのでヘルシーなのも良いですね。
麩まんじゅうは京都を始めとした生麩を食べる習慣がある地域で生産されています。菓子店だけでなく、製麩業者でも麩まんじゅうが作られているのも面白いですよね。
鮎漁解禁の時期に食べたい若鮎
イラスト:調布
芒種を迎える6月上旬に行われるのが鮎漁解禁です。この頃に販売される和菓子が、川の中を泳ぐ鮎の姿に似せて作られた若鮎になります。
カステラ生地で求肥やあんこを包んだもので、焼印で目やひれを入れて鮎の形に成形したお菓子です。若鮎以外にも、鮎焼きや稚鮎などと呼ばれる場合もあります。
調布と呼ばれる求肥を生地でくるんだ和菓子が元になっており、いつしか鮎の姿に模して作るようになり若鮎が生まれたとされています。
清流として知られる長良川や鴨川が流れる岐阜県や京都府の名産品としても有名です。ふっくらとした生地とモチモチとした求肥の食感が特徴的で、甘さは控えめとなっています。
じめじめとした梅雨を迎える時期ですが、涼しげでかわいらしい見た目をしている若鮎を食べれば、気分だけでも爽やかになれるでしょう。
※調布について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-調布」を参照してください。
醍醐天皇も愛したわらび餅
写真:わらび餅
透明感があって涼しげなわらび餅も芒種の頃におすすめの和菓子です。
歴史は古く、平安時代の醍醐天皇も愛したと伝えられており、太夫の位を授けたという逸話から岡大夫という別名も持っています。
本来のわらび餅はわらびの地下茎から作られたわらび粉を原料としていますが、わらび粉の精製には冬の間に何度も冷水で洗う必要があるなど非常に手間がかかります。そのため、希少価値が高い高級品で、身分の高い人の間で食べられていました。現在のわらび餅はタピオカや葛のデンプンを用いて作られたものが多いです。
わらび餅の魅力は、なんと言ってもなめらかでプルプルとした食感です。黒蜜をかければ上品な甘さが口の中に広がります。常温でも良いですが冷やして食べても美味しいわらび餅は、これから気温が高くなっていく時期にピッタリですね。
※わらび餅について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-わらび餅」を参照してください。