和菓子辞典

干しいもの特徴・歴史・味

写真:代表的な干しいも

特徴

干しいもの見た目は、およそ3パターンに分類されます。

1つ目は、スタンダードなものでよく目にするタイプの平干しと呼ばれるものです。芋を薄く1センチほどの厚さにスライスした小判型をしている特徴があります。切り口がつるっとした形をしていて、舌触りがよいのもこのタイプと言えるでしょう。生産される干しいもの8割ほどが平干しです。

2つ目は、芋をそのまままるごと干してしまう丸干しというタイプてす。干す時間が長くなり、手間もかかるため10センチほどの小さな芋を使用します。芋本来の味や食感を楽しめるタイプと言えるでしょう。

3つ目は、角切りと呼ばれるスティックタイプのものです。棒状になっていることから噛みごたえがあるのが特徴です。干しいもの品種により甘さや歯ごたえ、色目などが異なってきます。国産の干しいものほとんどは玉豊という品種が使われており、他にも色が紫色になる紫いもや鮮やかな黄色が特徴の紅こがねなどがあります。

歴史・由来

干しいもは、江戸時代の文政年間に静岡県で誕生しました。

当時、御前崎にいた栗林正蔵という方が輸送と保存の観点から干しいもの原型を考案したとされています。

明治時代に入ると干しいもの作り方は一般化し、日露戦争の際には、軍人の保存食として採用されました。そのことから干しいもは当時、軍人いもと呼ばれていたそうです。

また、作り方の一般化に伴い、干しいもが全国に広がると、茨城県でも干しいも作りが盛んになりました。干しいもの元祖である静岡県は、メロンやお茶など他の農産物が盛んになるにつれ、干しいも作りが衰退していったのに対して、茨城県ではいも作りに適した水はけのよい土壌と冬のからっ風のおかげで急速に干しいも作りが広がっていきました。現在では、干しいもの生産の8割が茨城県となっています。

写真:おいしい干しいも

風味・味

干しいもの風味や味は、タイプや品種により異なりますが、大まかには以下のようになります。

まず、平干しの場合、舌触りが他のタイプと比べて良く、噛むごとに甘味と共にいもの風味を感じることができます。噛むごとに歯につくような粘る食感を楽しめるのもこのタイプになります。

丸干しの場合、表面の部分を食べると平干しの時と同様、いもの甘さを感じることができます。しかし、いもの芯の部分に近づくにつれ、更に蜜のような甘さを楽しめるようになっています。いも本来の風味を味わえるのもこのタイプの特徴と言えるでしょう。

そして、角切りでは、平干しと丸干しの中間的な味わいが楽しめるようになっています。

いずみという品種では、玉豊と同等の甘味がありますが、風味は芋より栗に近く、キャラメルのような風味もあります。紅はるかでは、甘味がより強く、しつこくないのが特徴となります。紫いもは、甘味が少ない反面、アントシアニンが豊富です。

 

和菓子分類

製法での分類:-
水分量分類:干し菓子

 

主な材料

いも(玉豊、紫いも、紅こがね、紅はるか、いずみ)

※一般的な材料を記載しています。詳しくは製造元に問い合わせてください。

カロリー(概算)

1本(300g)で、489kcal

 

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