和菓子辞典

ようかんの特徴・歴史・味

写真:代表的なようかん

 

特徴

ようかんと一口に言っても、いろいろな種類があります。

最も一般的な練りようかんは、粉寒天を煮て溶かし、砂糖とこしあんを入れて練り、冷やし固めたものです。練りようかんの水分量が多いものが、水ようかんです。

最も歴史が古いのが、寒天の無かった室町時代から作られている蒸しようかんです。こしあんに砂糖、小麦粉やくず粉、片栗粉等を入れて蒸したものです。蒸しようかんよりも、練りようかんや水ようかんの方が砂糖を多く使うため、日持ちします。

練りようかんは、見た目は四角くつるりとした上品な印象です。小豆の他にも、白アズキや抹茶等を使った、白や緑、琥珀色等のようかんもあり、和の美しさを感じられる配色のものもあります。
栗を入れた蒸しようかんは、あんの色と栗の黄色が映えて食欲をそそり、サツマイモで作る芋ようかんは懐かしさと素朴さを感じます。
四角いだけでなく、玉ようかんのような丸い形のものも売られています。

 

歴史・由来

ようかんは、漢字で羊羹と書き、一口ずつ切って食べる棹ものと呼ばれる和菓子です。

漢字に羊があるのは、もともとは中国料理の羊肉のスープが冷めてできる煮こごりがルーツになったことに関係しています。この料理は、鎌倉時代から室町時代にかけて禅僧が日本に伝えましたが、禅宗では肉食が禁じられていたため、精進料理として考え出されたのが、羊肉の代わりに小豆を使い、当時貴重だったくず粉を入れた蒸しようかんでした。
別の説では、中国から羊の肝臓の形をした羊肝こうというお菓子が伝えられた時、肝が羹になったとあります。

練りようかんは、1589年に鶴屋の五代目岡本善右衛門が寒天の原料であるテングサで作り、豊臣秀吉に献上したのが始まりと言われています。鶴屋は、後に、駿河屋と改名し、ようかんの有名店となりました。のれん分けされた堺の駿河屋は、歌人・与謝野晶子の生家です。

丸い玉ようかんは、1937年に福島県二本松市の玉嶋屋が、日本陸軍の指示により、ゴム風船を使って開発しました。

芋ようかんは、1902年に現在の浅草の舟和の創業者により、高級品で庶民は食べられなかった練りようかんの代わりに、身近なサツマイモを使って作られました。

写真:おいしそうなようかん

 

風味・味

こしあんで作った練りようかんは、舌触りがなめらかで、甘みが強く、濃い日本茶によく合います。水ようかんは、更につるりとした食感で、暑い時期でも食べやすくなっています。粒あんで作ったものは、甘さと共に小豆の粒を舌で感じられます。ようかんの中に白アズキをそのまま入れたものもあり、つるりとした感覚と豆そのものの形を味わえます。

蒸しようかんは、甘さ控えめで、もっちりした食感です。栗蒸しようかんは、栗の甘味やゴロゴロした食感も手伝って、より食べ応えがあります。芋ようかんは、練ったサツマイモをそのまま食べているようなほっくりとした味わいが特徴です。その他、葛を使って上品に仕上げたものは、葛特有のもちもち感が楽しめます。

抹茶、黒糖、紅茶やコーヒー味のようかんもあり、それぞれの風味を堪能できます。

 

和菓子分類

製法での分類:生菓子

水分量分類:流し物あるいは蒸し物

 

主な材料

砂糖、小豆、寒天

※一般的な材料を記載しています。詳しくは製造元に問い合わせてください。

 

カロリー(概算)

カップ入り1個(70g)で、166Kcal

 

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