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皐月(さつき 5月)におすすめの和菓子3選

柏餅

5月といえば端午の節句です。男の子の健やかな成長を願い、兜や鯉のぼりを飾ってお祝いをする風習があります。その時に一緒に食される和菓子が、柏餅なのです。

柏は昔から神聖な木として扱われてきた歴史があり、祭祀などにも用いられています。柏の特徴は、新芽が出てこない限り古い葉が落ちることがないということにあります。そのため、子孫繁栄の象徴であるおめでたい植物として端午の節句には柏餅が欠かせません。

実は、柏餅は昭和天皇の逸話が残っています。昭和天皇がはじめて柏餅を召し上がったとき、柏の葉を剥がして食べることをご存知でなかったために、柏の葉と一緒に召し上がってしまったのです。お付きの者が天皇に間違いを上奏することはできないので、そのまま柏の葉ごと柏餅を召し上がった、というお話が伝えられています。

※柏餅について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-柏餅」を参照してください。

青梅

皐月は新緑の季節で、青々と茂る若葉が目に麗しいものです。この頃に鮮やかな黄緑色の実をつけ、市場に出回る青梅は、和菓子の世界でも本物そっくりに表現されています。

求肥を用いて作る和菓子で、求肥をクチナシを用いて鮮やかな新緑色に染め上げます。餡を求肥で包んで丸め、そこに丸みに沿って一本の筋を入れます。こうすることでまるで本物の青梅のような和菓子に仕上がるのです。

皐月は新緑を楽しむ季節ということもあり、お茶の席でも青梅に代表されるはっと目を引くような鮮やかな色の和菓子が供されます。

青梅は、5月に合わせて各地の和菓子店で趣向を凝らした商品が並びます。最近では、和菓子の青梅の餡の中に、梅の実を甘露煮にしたものを入れるなど工夫が見られ、後味がさっぱりとしていて口当たりが良いものです。

 

唐衣

この季節に登場する和菓子の一つに、唐衣というものがあります。唐衣といえば、伊勢物語の9段にある「東下り」、並びに古今和歌集に収録されている在原業平の有名な和歌をご存知の方も多いでしょう。

「唐衣 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ」という歌で、在原業平が都を立ち、東国へいく道中に立ち寄った三河の八つ橋で詠まれたと伝えられています。この和歌には折り句という技法が用いられていて、同じく5月に開花を迎えるかきつばたを歌った和歌としても有名です。

唐衣という和菓子は、この有名な和歌から生まれたお菓子です。肌触りの良い唐衣のように薄い求肥で餡を柔らかく包み込み、その一部をクチナシでかきつばたと同じ色に染め上げたとても風流な和菓子に仕上がっています。5月になると和菓子屋の店頭に並びます。

 

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