江戸時代から人々に愛されている「桜餅」
写真:さくら餅
啓蟄の時期には、そろそろ桜の便りも聞こえてきます。そんな季節、春の和菓子として定番の「桜餅」は、これから来る春本番を待ち遠しく思いながら味わうにはぴったりです。
桜餅は大きく分けて二種類あり、一つは道明寺粉を使ったもので関西風ともいわれ、もう一つが焼いた生地であんを包んだ関東風のものです。
口に含んだ時に食感の違いがあり、好みもありますがそれぞれに美味しさが楽しめます。いずれも桜の葉を塩漬けしたもので包まれ、独特の良い香りをまとっていますので、桜葉の香りを嗅いだだけでほっとするような感じがする人も多いのではないでしょうか。
桜餅の歴史を遡ると、なんと江戸時代に生まれ300年以上の歴史ある和菓子だということで、その風流な姿や味わいは昔から人々の間で愛されていたことがうかがえます。
※桜餅について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-桜餅」を参照してください。
繊細な細工や色合いが魅力の「練り切り」
イラスト:練り切り
3月上旬の頃というのは三寒四温といわれ、寒さと温かい日を繰り返しながらじわじわと陽光の温かさを感じられる季節へと移ろっていきます。
少し肌寒い日もあるそんな季節には、「練り切り」を渋めの日本茶と味わうのも良いでしょう。
練り切りというのは、白あんや砂糖に山芋などを加えて練った、練り切りあんを使った生菓子です。ベースが白あんのためさまざまな着色をほどこしやすく、それぞれのシーズンに合わせた色合いや形で季節感を表現することが出来るのが魅力です。
その繊細な細工や色のグラデーションは、食べてしまうのがもったいないほどで、まさに目で楽しみそして味わうという醍醐味がある和菓子と言えるでしょう。
啓蟄の季節には桜の形や淡いもも色・さくら色に着色された練り切りが作られることが多く、これから来る陽春を思いながらいただくと、より味わい深いものとなります。
※練り切りについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-練り切り」を参照してください。
3色で季節の変化も表現している「お花見団子」
写真:三色団子
二十四節気の啓蟄の頃には、お花見シーズンも近づいてくる頃です。そんな季節に味わう和菓子として「お花見団子」は欠かせません。
上新粉や白玉粉を使って3色に染めた団子を串に差したもので、色の組み合わせも大変綺麗です。お花見団子のルーツを見てみると豊臣秀吉の時代に遡ります。当時秀吉が桜の木の下で大勢の客を招いて盛大な宴会を催した際に、茶菓子としてふるまわれたのがお花見団子だったそうです。
3色のそれぞれの色の意味は、白が冬や雪、ピンク色が春や雛祭り・ももの花など、そして緑が新緑やよもぎをイメージしたものと言われています。そうしてみると、冬から春そして新緑の季節へと季節の移り変わりが表現されていて、大変風流なものだということが分かります。冬の終わりから早春にかけては、新たな季節が待ち遠しい季節でもありますので、そんな思いも込められているようです。
※お花見団子について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-三色だんご」を参照してください。