山茶花の練りきり
イラスト:練り切り
秋の終わりから冬にかけての季語にもなっている山茶花は、名前に茶の字が使われていることから、茶道の席で飾られる茶花には向かないと敬遠されることもあります。その代わりというわけではないのですが、初冬の茶席では、山茶花が多く使われます。
薄い桃色の練りきりあんを茶巾絞りにして、ころんとした丸く可愛らしい形を作り、真ん中のくぼみの中に、鮮やかな黄色のめしべやおしべがあしらわれて、可憐で楚々とした和菓子は、食べるまえから自然に笑みがこぼれるような優しい気持ちになりますね。
山茶花には、「困難に打ち勝つ」という花言葉がついています。体調を崩しやすい冬にむけて、美しくひたむきなイメージの山茶花に力をもらって年末年始を迎えましょう、というメッセージ性がある和菓子です。
※練り切りについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-練り切り」を参照してください。
かぼちゃのきんつば
イラスト:きんつば
夏に収穫され、秋に向けて甘みを蓄えてきたかぼちゃのきんつばで体と心の冬支度をしてみませんか。二か月以上もかぼちゃの流通を遅らせるのは、収穫直後よりも糖度が二倍になることで、よりおいしく食べられるということに加えて、栄養価も高まるからです。特に、免疫効果を高めるといわれるβ‐カロテンが約五倍になるので、かぼちゃの和菓子は冬の健康維持のためにもぜひ、食べたいものですね。
かぼちゃの温かみのある黄色と、贅沢に裏ごしされた素材の甘みを生かしたきんつばは、温めても冷やしてもおいしく食べられます。日本茶のお茶請けとしてだけでなく、ホットミルクや無糖の紅茶と合わせてもマッチする、優しい甘みです。
旬の食材を使ったお菓子で、秋の夜長をほっこりと過ごすのはいかがでしょうか。
※きんつばについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-きんつば」を参照してください。
りんごのどら焼き
イラスト:どら焼き
冬至にかぼちゃを食べるとよい、というように、立冬の時に特定のものを食べるという風習はないのですが、二十四節気の発祥の地である中国では、「冬には冬の食べもので元気を補う」という言葉があります。
日本でも、旬のものを食べるのが体に良いとされていますね。そこで、数多くある旬の果物の中から、りんごを選んでみました。甘酸っぱいリンゴは、和菓子の甘さともよく合います。
そこで、りんごのどら焼きをおすすめします。洋菓子のアップルパイとは違い、ふんわりとした生地に挟まれているのはあんこと、ごろごろとした煮りんごです。あんこのしっかりした甘さと、しゃりっとした食感のリンゴの酸味が絶妙にマッチして体の中から元気になります。あんこは白あんだとまた少し風味が変わって、両方を食べたくなりますね。
※どら焼きについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-どら焼き」を参照してください。