若鮎
イラスト:調布
みどりの日は自然の恵みに感謝し、その恵みにしたしむことで、心の豊かさが育まれることを願う祝日です。毎年5月4日にあるこの祝日には、これからすくすくと育っていくであろう若鮎がモデルとなっているこの和菓子が似合いそうです。
若鮎は求肥や小豆をカステラの生地で包み込み、焼印などで鮎らしい目や尾びれなどを作ってある可愛らしい見た目のお菓子です。地域によって生地のなかみや形、鮎の顔などが異なるため、たくさん買って食べ比べしてみたり、見た目の違いをチェックしてみても楽しめます。
若鮎のもとになったのは調布という薄い生地のなかに求肥を包んだお菓子で、これに目やひれをつけて鮎に似せるようになったきっかけは明らかになっていないようです。
清々しい川で泳ぐ若鮎をモチーフとしたこの和菓子は、5月の爽やかな雰囲気にもしっくりきそうです。
※若鮎(調布)について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-調布」を参照してください。
草餅
イラスト:草餅
よもぎを練りこんだ餅の緑色が美しい草もちは、みどりの日という名称にも相応しい和菓子です。
餅のなかには小豆を包むことが多いのですが、なにも入れずにそのまま食べても、よもぎの風味や餅の食感がしみじみと感じられて美味しいです。
昔はよもぎではなく母子草という植物を使っていたため、母子餅という名で呼ばれていた時代もありました。母子餅は上巳の節句という穢れを清めるための節句で食べられていたそうで、この風習は平安時代にも行われていたようです。
母子草の代わりによもぎが用いられるようになった理由は諸説ありますが、はっきりとした事情はわかっておらず、広島や岡山などの地域では現代でも母子草を使った草もちが作られています。
新緑が美しい季節である5月に合う和菓子を探しているなら、この草もちはうってつけです。よもぎの新芽は5月の初め頃まで出てくるため、新鮮な自然の味を楽しみたい方にもおすすめです。
※草餅について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-草餅」を参照してください。
ちまき
イラスト:ちまき
端午の節句に用意することも多いちまきは、羊羹や餅を三角形や細長い形に成形し、笹の葉で巻いて茹でるか、蒸して作る和菓子です。
元々、保存食として用いられてきた食べ物で、長い時代を経て改良が加えられ、お菓子としても食べられるようになった歴史があります。
昔は笹の葉ではなくチガヤという草の葉で包まれていたため、ちがやまきという名称で呼ばれていたこともあったそうです。
食べる時にきな粉を餅につけるのもおすすめで、ほんのりとした優しい甘さや、弾力のあるもっちりとした食感と、笹の葉の香りのハーモニーを楽しむことができます。
ちまきは中国が発祥の食べ物とされており、もとは愛国者を弔うために米を笹の葉で包んだものを川に入れたのがはじまりだといわれています。
日本では中国から端午の節句の風習と一緒にちまきも伝わってきており、災難を避ける食べ物として用いられてきました。
5月は連休があるため気持ちが緩んだり、5月病といった独特な症状にも襲われがちな時季なので、ちまきを食べて災いを避けるための力を身につけたいところです。緑茶との相性も良いので、家族との団欒の時間に用意しておいても喜んでもらえそうです。
※ちまきについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-ちまき」を参照してください。