錦玉羹
イラスト:みぞれ羹
夏の季節に和菓子屋さんの店頭に一斉に並びだす錦玉羹。寒天に砂糖や水飴を加えて型に流し込み、冷やし固めたものです。
出来上がったものは透明の色をしていて、涼し気な雰囲気を出しています。食紅を使って色鮮やかにしたり、様々な食材と組み合わせたりすると色々なデザインが仕上がります。何色もの寒天を流し込めば、グラデーションを作ることも可能です。
小暑の季節には棚端を連想させるような星や月、天の川をデザインに取り入れたり、青や水色を基調としたりしたデザインが多く登場します。見ているだけで夏の訪れを感じさせてくれます。
また、金粉などを入れれば夏の夜空に光る星も再現出来ます。寒天のしっかりとした食感を楽しむことができ、しつこい甘さが無いのが特徴です。夏の暑い時期に冷たいお茶とも食べられる和菓子になっています。
※みぞれ羹について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-みぞれ羹」を参照してください。
索餅
小暑の頃の日本のイベントとして挙げられるのは、七夕です。
七夕は中国が起源で、皇帝の子供が7月7日に亡くなってしまったことから始まります。亡くなってしまった子供が悪霊や鬼になり、流行り病をうつすようになってしまったのです。その子供の霊を鎮めようと、縄状の形をしたお菓子をお供えしたところ、子供の霊はおとなしくなり、無事に一年を過ごせたと言い伝えられています。この中国の言い伝えが平安時代から奈良時代にかけて日本に伝わり、日本も七夕というイベントをするようになりました。
七夕のお供え物に使われたお菓子が索餅で、小麦粉と米粉を使った和菓子です。国内に七夕が伝わってから、日本でも7月7日に索餅が食べられるようになりました。
そうめんの原型とも言われるお菓子で、奈良県では「しんこ」と呼ばれるお団子として親しまれています。サクサクとした食感で、程よい甘さがあります。
練り切り
イラスト:練り切り
練り切りは上生菓子の一つで、白餡に求肥や山芋を加えて練ったものです。生菓子の中でも高級感のある和菓子で、茶道の発展と共に成長してきた歴史もあります。
練り上げた材料を様々な形にして、花や果物、動物などの形に変身させるのです。小暑の頃には夏の始まりを感じさせるようなデザインが多く登場します。例えば、朝顔やひまわり、スイカ、そして星空をイメージした練り切りなどがあります。その見た目の美しさから江戸時代では大流行したお菓子でもあるのです。
夏をモチーフとした練り切りは清涼感があり、見ているだけで爽やかな気持ちになります。
また、口に入れると白餡がゆっくりと溶けて、口いっぱいに上品な甘さが広がります。なめらかな口当たりで、しっとりとしているのも練り切りの魅力です。茶道と共に発展してきたお菓子なので、濃い抹茶とも相性抜群です。
※練り切りについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-練り切り」を参照してください。