芋羊かん
秋は、農作物の収穫が増え、美味しいものが多い季節です。なかでも、旬のものを使った和菓子は素材そのものの味が楽しめるので人気があります。
芋羊かんは、さつまいもを蒸して砂糖を加え練り混ぜたあと、型に入れ冷やし固めたものです。裏ごしすると口当たりがなめらかになります。
一般的な羊かんとは違い、甘みは強くないですが、さつまいもそのものの甘みが感じられます。旬のさつまいもは甘みが増してより美味しくなるので、さらに美味しい芋ようかんになります。
もちろん、芋羊かんをそのまま食べても美味しいのですが、バターやアイスクリームを合わせると洋風な味わいになったり、オーブントースターなどで少し焼くと焼き芋のような味わいになったりとアレンジも楽しめ、幅広い年齢層の人たちに喜ばれます。
栗きんとん
イラスト:栗きんとん
季節のものを取り入れた和菓子は、味も見た目にも楽しめます。栗は、秋の行事である栗拾いが行われる9~10月に、ほとんどの品種が旬を迎えます。
ここで紹介する旬の栗を使った栗きんとんは、おせち料理の栗きんとんとは違い、粘り気はなく甘みも強くありません。栗に少量の砂糖を加えて炊き上げるので、自然で素朴な甘みと風味が味わえます。形も栗の形を模した茶巾絞りになっていて、見た目にも楽しめます。旬の栗を使って作るので、栗そのものの美味しさを十分に味わえる和菓子になっています。
岐阜県の中津川が発祥の地と言われ、名産品になっています。厳選された岐阜県産の栗を使い、手絞りで丁寧に仕上げられた栗きんとんは、中に入っている栗の粒も絶妙で人気です。毎年、秋からの発売時期にしか手に入らないので、多くの人が心待ちにしています。
※栗きんとんについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-栗きんとん」を参照してください。
栗蒸し羊かん
イラスト:羊羹
秋には、栗を使った和菓子が多く存在します。栗蒸し羊かんもそのうちのひとつです。
蒸し羊かんは、こし餡に小麦粉とくず粉、砂糖や水などを混ぜ合わせたものを型に入れて蒸したもので、中に栗を入れたものが栗蒸し羊かんになります。
栗蒸し羊かんは、甘さ控えめで、もっちりとした食感の中にごろごろと入っている栗の食感と甘みが美味しく食べやすいと人気があります。
しかし、栗羊かんと違い水分が多く糖分が低いので、日持ちがしません。栗蒸し羊かんは、千葉県成田山参道が発祥の地で、精進料理からヒントを得たと言われています。今では、全国各地の老舗和菓子店から販売されていて、各店それぞれに特徴ある栗蒸し羊かんがあります。
少し長くなった秋の夜を、この時期にしか味わえない和菓子を楽しみながら過ごしてみるのもいいですね。
※羊羹について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-羊羹」を参照してください。