ひなあられ
写真:あられ
桃の節句で定番の和菓子といえば、ひなあられですよね。桃の節句にひなあられを食べるようになったのか、知っていますか。諸説ありますが、ある地域で伝わる「雛の国見せ」という風習に由来すると言われます。これは桃の節句になるとひな人形を屋外へ持ち出して、一緒に景色を眺める行事のこと。その時にみんなでひなあられを食べることから、世間一般に広まったようです。
通常、ひなあられの色は赤・白・緑の3色ですが、もちろんこれにも意味があります。赤色には生命力、白色には純潔や清浄、そして緑色には新緑の芽や穢れを祓う、こんな意味が込められているのです。
また、地域によっても、作り方をはじめ色や形状が異なります。関東ではうるち米を炊いて乾燥し、色付きの砂糖で味付けした甘いものが一般的。その一方、関西では普通のあられ餅のように、もち米にエビや海苔で着色し、塩味にしたものが定着しています。
※あられについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-あられ」を参照してください。
菱餅
イラスト:菱餅
桃の節句でひな人形を飾る風習は、どの地域でもよく目にすることができます。そしてひな壇にお供えする和菓子といえば、やはり菱餅です。
お餅の色も、ひなあられと同じく3色が一般的。その意味も同じと考えてよいようです。ただし地方によっては、2色や7色のお餅を供えるケースもあるそうです。着色については、赤色にはクチナシ、緑色には蓮の花を使用するのが、伝統的な製法のようです。
なお、菱形の理由については諸説ありますが、古くから菱は生命力や繁殖力の強さを象徴する形とされます。そこから子孫繁栄や健やかな成長を願って、ひな壇にお供えすることになったようです。ただし、地域の風習によっては三角形や丸形もあることから、実際には全国の地域ごとに多様な意味があると考えてよいでしょう。
※菱餅について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-菱餅」を参照してください。
ひちぎり
イラスト:あこや餅
桃の節句の和菓子として最後におすすめしたいのが、引千切(ひきちぎり)です。もしかしたら、この和菓子の名前を聞いたことがない方もいるはず。引千切は京都のひな祭りでは必ずといってよいほど、定番の和菓子です。裏を返せば、それ以外の地域では、あまり知られないローカルな和菓子とも言えます。
見た目はよもぎ餅やさくら餅を引き伸ばし、中心部にくぼみを作って、そこへ餡を載せたものが一般的です。色については他の和菓子と同じく、やはり3色が基本。女の子の健やかな成長を願うという点では、何ら変わることはありません。
そもそもひな祭りで引千切を出す由来は、その形状がアコヤ貝(真珠貝)に似ていたことから、「あこや餅」と呼ばれていたことにつながります。つまり硬い貝で守られた真珠のように、大切に女の子を育てるという意味が込められているそうです。
※あこやについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-あこや」を参照してください。