あんころ餅
イラスト:あんこ餅
夏の土用は暑さの盛りですが、その時期に関西(京都)や北陸地方(金沢)では、あんころ餅(土用餅)を食べる風習があります。お餅の力持ちと厄除けの小豆で無病息災と暑気払いになるようです。
お餅にこしあんを包んだあずき風味の和菓子で、見た目はおはぎや牡丹餅に似ています。もちもちの食感に小豆の上品な甘さが素朴で優しい味わいですが、小豆は疲労回復や夏バテ、だるさなどにも効果的で夏に相応しい和菓子です。
夏の土用は7月20日頃~8月6日頃と暑さの厳しい時期ですが、それを乗り切るために、栄養価の高い土用餅を食べて元気を付けようという意味が込められています。
手軽に食べられる縁起の良い和菓子ですし、ついた餅を食べれば力がつくので、初めて知った人も、ぜひ夏だけの味を楽しんでみましょう。
※あんころ餅について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-あんこ餅」を参照してください。
水まんじゅう
夏の風物詩・水饅頭は、ひんやりした程よいこしと柔らかい食感の生地に餡を包んだ和スイーツです。
土用の丑の日に水饅頭を食べる風習もありますが、あっさりした口解けの良い餡の甘さとほんのり酒の香りが特徴的です。するりとしたのどごしで清涼感と透明感があり、この季節にぴったりのさっぱりした味わいです。
緑茶やアイスティーなどとも相性が良く、餡の種類も豊富です。定番のこし餡や抹茶餡の他に、桜餡や桃餡などのフルーツ餡もあり、夏の贈答品としても人気が高いようです。
暑い日が続くと食欲もなくなりがちですが、和の文化が見直される現代では、季節に関連した和菓子も再評価され、夏になると涼を求めに小豆を使った水饅頭などを購入する人もいます。夏に食べたい伝統的な冷たい和菓子としておすすめのようですね。
若鮎
清流を泳ぐ鮎をイメージした若鮎は、ふんわり柔らかいカステラ生地に甘さ控えめの求肥餅が入った伝統菓子です。清流として名高い長良川を有する岐阜県や京都の銘菓としても知られます。
餡や餅を包んでふっくらとした感じを出して目やヒレなどを焼印で描きますが、凛として力強く反り上がった姿や可愛らしい姿など、スリムな若鮎の表情も様々です。
暑い日に冷やして食べると、香ばしい焼き皮に餅の心地よい冷たさとしっとりとした甘さを味わえます。甘さ控えめな若鮎は冷緑茶との相性も良く、愛嬌ある形も魅力的です。
初夏になるとお店で販売されますが、老若男女を問わず、誰からも愛される若鮎は夏を涼しげに演出する和菓子の一つなので、まずは表情や形を楽しむのも良いでしょう。冷凍すれば軟らかいアイスのようにもなりますね。