おはぎ(ぼたもち)
写真:おはぎ
春季の二十四節気の4つ目にあたるのが春分です。「天の赤道」と「黄道」が年に2回「春分点」で交わるのが春分で、昼と夜の長さがほぼ同じになる日とされています。
春分の日は、日本の国民の祝日の一つとして制定されていますが、「自然を讃えいつくしむ日」という意味合いが「祖先に感謝する日」と解釈され、彼岸の風習につながりました。そんな彼岸の頃に先祖供養としてお墓に供えたり食べたりする和菓子が『おはぎ』です。
もち米を蒸かしたものを軽くつぶして丸め、小豆餡を上からまぶしたシンプルなものですが、非常に栄養価が高く、季節の変わり目の体調を崩しやすいこの時期にぴったりの和菓子です。
また、地域性が高く、餡がこし餡であったり芋餡であったり、上からきな粉をまぶしたり、逆に餡をもち米で包んであったりするものなどバリエーションに富みます。
優しい甘さでほっこりとした気持ちにさせてくれるおはぎは、季節のものというイメージが強くありますが、最近では専門店ができるほど人気にもなっています。
※おはぎについて、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-おはぎ」を参照してください。
桜もち(長命寺・道明寺)
写真:さくら餅
桜が咲き始めるこの時期には『桜もち』もおすすめです。桜もちはうっすらピンクのとてもかわいらしい見た目の和菓子ですが、関東地方と関西地方で少し異なります。
関東の桜もちは「長命寺」といい、小麦粉や白玉粉を水で溶きよく混ぜた生地を薄くクレープ状に広げて焼き、小豆餡を二つ折りで包み、その上から塩漬けの桜の葉で巻いたものです。焼いた生地はもちもちとした食感で、お饅頭のような味わいの中に桜の塩っぽさがアクセントになります。
一方、関西の桜もちは「道明寺」と呼ばれ、道明寺粉を水で煮てふっくらとさせてから蒸かし、それで小豆餡を丸く包み、塩漬けの桜の葉で巻いたものになります。生地は甘くぷちぷちとした触感で、弾力と粘りがあり食べ応えがあります。桜の葉を塩漬けにするのは桜の香りを立たせるためで、桜の強い香りは春の訪れを感じさせる大切な役割を担っています。
また、病気から身体を守る抗酸化性や抗菌性、血流改善などの効果もあり健康にも一役買う和菓子です。
※桜餅について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-桜餅」を参照してください。
草もち(よもぎもち)
写真:草餅
この時期に芽を出し始めるよもぎの新芽を使った『草もち』は、鮮やかな天然の緑色で見た目にも春の息吹を感じさせる和菓子です。
よもぎの新芽はとても香り高く柔らかいですが、この香りには邪気払いの効果があると信じられていて、古く平安時代から作られていました。小豆餡の包み方などにその店の特徴が表れる他、ぜんざいとしても食べられています。
草もちは、重曹を入れたお湯でゆでたよもぎを細かく切ってつぶし、上新粉ともち粉に砂糖を加え蒸かしたものに少しずつよもぎを加えてすりこ木で混ぜ合わせます。
できた草色のもちで小豆餡を包み込んだり、きな粉や蜜を添えたりしていただきます。よもぎはビタミンや鉄分、食物繊維が豊富なだけでなく、貧血予防やコレステロールを下げる働きを持つクロロフィルも含まれているなど、こちらも健康にとてもいい素材です。
※草餅について、もっと詳しく知りたい方は「和菓子辞典-草餅」を参照してください。