写真:代表的なゆべし
特徴
ゆべしは古くから伝わる和菓子ですが、地域によって見た目や味に違いがあります。
ゆずやクルミを使用していますが、ゆずの香りがする羊羹などもゆべしと呼ぶことがあります。
ゆべしを漢字で書くと柚餅子となり、「柚」の字からゆずが入っているお菓子を連想させますが、必ずしもゆずを使用するわけではありません。ゆずを使わずクルミだけの地域もあれば、ゆずをまるごと使用したゆべしもあります。
正方形や長方形、三角形や棒状、薄く平らに伸ばしたものや丸い形など、形も地域によって異なります。
また、家庭で手作りのゆべしを楽しむ方も多いです。家庭で楽しむゆべしも、作り方や形は地域によって違いがあります。地域によって異なるゆべしを味わえるため、旅行などで訪れた先では、ゆべしを食べて楽しんでみましょう。
歴史・由来
ゆべしの歴史は諸説ありますが、ゆべしは1180年ごろの源平時代からあるといわれています。携帯しやすい保存食として食べられていました。
江戸時代に徳川家へ献上されたお菓子としても知られています。地域によって違うゆべしがあるため、はっきりとした発祥の地はわかっていません。
また、農家で作られていた、定番のおやつともいわれています。割れてしまったお米を粉にしたものに砂糖やしょうゆを混ぜ、2本の指で押したことからゆべしという名前をつけたともいわれています。
飾りをつけて蒸したものは、子供のおやつとして親しまれていました。地域によっては、お菓子として楽しむよりもお酒のおつまみとして重宝されている丸ゆべしと呼ばれるものもあります。
石川県が有名ですが、輪島塗の行商人が各地に広めたといわれています。
写真:おいしい柚餅子
風味・味
ゆべしを手作りして、お好みの甘さを楽しむ方も多いです。しょうゆを使用した甘じょっぱいゆべしもあります。
石川県の輪島市で有名な丸ゆべしは、ゆずに米粉や砂糖をいれてまるごと乾燥させた干し柿のようなゆべしです。羊羹のような舌ざわりもします。甘いものもありますが甘さ控えめのものが多く、薄く切って食べる他、おひたしなど、お酒のおつまみとしても楽しまれています。
岡山県の備中ゆべしは、ゆずをふんだんに使用した餅菓子です。ゆずの産地なので、ゆずの香りと味を十分に楽しめるゆべしとして知られています。
新潟には、越後ゆべしと糸魚川ゆべしがあります。越後ゆべしは京都から伝わり、新潟から会津や東北に広まっていったといわれています。
東北では新鮮なゆずが手に入りにくかったため、ゆずをいれずクルミの入った餅菓子がゆべしになりました。モチモチとした食感とクルミのザクザクとした食感、そして、クルミの香りが合わさり絶妙なハーモニーを生み出すゆべしが愛されています。
糸魚川ゆべしは茶席に出されていた柚子みそをヒントに作られた、みそ味でお酒にも合うゆべしです。
和菓子分類
製法での分類:練り物
水分量分類:半生菓子
主な材料
白玉粉、砂糖、黒砂糖、ゆず
※一般的な材料を記載しています。詳しくは製造元に問い合わせてください。
カロリー(概算)
1個(75g)で、255kcal