和菓子辞典

花びら餅の特徴・歴史・味

写真:代表的な花びら餅

特徴

白い餠にうっすらとピンク色をした花びらのような形で、中にゴボウが入っているものが花びら餠です。

丸く伸ばした餠を半分に折り畳んで、1枚の花びらのように見せています。ピンク色が白い餠に透けている感じです。ゴボウが花びらの上下にほんの少し見え隠れしているものもあれば、ゴボウの姿は完全に隠されているものもあります。いずれにせよその姿は非常に可憐でそれでいて品もあり、見た目の美しい和菓子の代表とも言えるでしょう。

中には、ピンク色をした花びら餠もありますが、その多くは全体の色は白いです。

花びら餠の花びらは、梅の花びらをイメージしたものだと言われています。白い梅の花を象徴する花びら餠は、抹茶と共に新年の祝いの場で食べることが多く、白い花びらと抹茶の緑色のコントラストもまた美しいものです。

歴史・由来

花びら餠は、茶道と大きく関係しています。

まず平安時代に、宮中において歯固めの儀という行事が開催されていました。これは白い丸餅と赤いひし形餠を重ね合わせて、そこにさまざまな食べ物を乗せて食べていたそうです。押し鮎のような硬い食品を食べて、健康長寿を祈る行事でした。

さらに明治時代に入り、鏡餅に押し鮎を添えた食べ物を皆で食べるようになりました。その後、ゴボウを押し鮎に見立て、蜂蜜で甘く煮たゴボウを白餠と紅餠で巻いた食べ物が考えられます。この食べ物を和菓子の職人がさらに研究し、今でいう美味しい花びら餠が出来上がったという説があるのです。

花びら餠の餡が味噌味であるのは、餅の中に食品を包んだ宮中雑煮の影響を受けているとも言われます。京都の雑煮は味噌味であるため、花びら餠の餡も味噌味に仕立てたというわけです。このようにして茶道の家元では正月に新年を祝う和菓子として、花びら餠が食べられるようになりました。

イラスト:おいしそうな花びら餅

風味・味

花びら餠は甘いだけではなく、ほんのりと塩気があります。この塩気は、餅の中に含まれている味噌餡によるものです。味噌は白味噌を使っていることがほとんどです。甘さと塩気の絶妙な組み合わせも、花びら餠の大きな魅力と言えるでしょう。

餅に巻かれているゴボウは、蜂蜜を使って煮込んだふくさゴボウと呼ばれるものです。甘いゴボウですが、ゴボウ独特の野菜の風味も消えていません。ゴボウのしっかりした歯ごたえと餠の柔らかさのギャップもまた、面白いものです。

口の中で甘さと塩辛さ、柔らかさと硬さが混じります。紅色は、小豆を使用してその淡い色を出しているものが多く、ほんのりと小豆の風味も感じられることでしょう。花びら餠は抹茶と食べることが多いですが、抹茶のほんのりした苦みともまた相性が良い和菓子です。

 

和菓子分類

製法での分類:餅物

水分量分類:生菓子

主な材料

白玉粉、上新粉、上白糖、片栗粉、ゴボウ、こしあん

※一般的な材料を記載しています。詳しくは製造元に問い合わせてください。

カロリー(概算)

1個(80g)で、187kcal

 

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