和菓子辞典

きなこ餅の特徴・歴史・味

写真:代表的なきなこ餅

特徴

きなこ餅は大豆を粉にした香ばしいきなこを味付けし、餅にまぶしたお菓子です。見た目はおおよそ丸や角の餅の形を保っていますが、搗き立ての餅を使っている場合は不定形の場合もあります。

餅そのままの形にきなこをまぶした見た目で、味付けの仕方によってその色合いなどが若干異なる場合もあります。きなこに砂糖や塩を混ぜたものならおおよそきなこのまぶされた黄味がかった色をしています。味を付けずに砂糖を上からかける方式が主流の地域などでは上に雪のように砂糖が積もった見た目になります。

甘味部分を蜜によって補っているものもあり、この場合には上から黒蜜を任意でかけて自分好みの甘さに調整するようになります。蜜をかける場合にはしみてしまうので、別添えとなっていることが多く食べる直前に掛けるようにします。

歴史・由来

きなこ餅の源流は安倍川もちという静岡に伝わる和菓子とされます。

安倍川もちは徳川家康が安倍川岸の茶屋に訪れた際に、店主がきなこを川の上流で採れる砂金に見立てて献上したところ大いに喜び、安倍川もちと命名したと伝わります。きなこに白砂糖は今でこそ一般的な組み合わせですが当時は白砂糖が珍しかったため、東海道において名物として人気を博しました。かの東海道中膝栗毛にも登場し、当時の知名度と人気をうかがうことができます。参勤交代の際には通過する諸侯が川沿いで楽しみ、徳川吉宗も駿府出身のものに城でわざわざ拵えさせたという記録が残るほどです。

単純に地域で大人気のお菓子であったという説もあり、安倍川で人気だったことからそのまま人々からは安倍川もち、きなこ餅と呼ばれるようになったという話もあります。

写真:おいしそうなきなこ餅

風味・味

餅の柔らかさときなこの香ばしさ、砂糖の甘さが混ざり合い、調和のとれた親しみやすい味が魅力です。

きなこは一般的に黄色い大豆を炒って粉にしたものを指しますが、工夫やアレンジによって青いものをあえて使った青きなこなどで色と風味を変えていったものもあります。

砂糖ときなこが混ざったタイプは全体の味がまとまりやすい特徴があります。別々に掛けるタイプは砂糖による湿り気をきなこが吸わないため、きなこの香ばしさを長く保てることが長所となります。

粉っぽさと甘味があるので、単体で楽しむよりはあんころ餅などとセットで食べる、温かいお茶と共に食べるなどのお茶請けとしてのスタイルに合う味です。黒蜜がけのタイプは蜜の分だけ滑りが良くなり、口当たりがなめらかになります。

 

和菓子分類

製法での分類:餅物

水分量分類:生菓子

主な材料

餅粉、大豆(きな粉)、砂糖、黒蜜

※一般的な材料を記載しています。詳しくは製造元に問い合わせてください。

カロリー(概算)

1個(272g)で、669kcal

 

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