和菓子辞典

葛桜の特徴・歴史・味

写真:代表的な葛桜

 

特徴

ツルンとした透明の葛餅を塩漬けの桜の葉で巻いた和菓子を、葛桜と呼びます。

葛餅の中には、こし餡や桜餡が入っていることが多いです。透明の葛から中の餡が見えて、桜の葉のグリーンとも調和し、見た目も爽やかな初夏の和菓子です。

和菓子店によっては、桜のつぼみなどを葛に入れて、よりいっそう美しく仕上げている葛桜もあります。

桜餡の場合でも、葛餅が透明なので中の餡のピンク色が映り、非常に綺麗な色合いになります。半分にカットしても美しいのが、葛桜です。透明の葛餅と餡の色とのコントラストに目を奪われます。

そもそも葛餅は、みずみずしさが強調される和菓子です。涼菓としても人気の葛桜は、見た目もみずみずしい夏の暑さを一瞬忘れさせてくれる水菓子なのです。

こし餡、白餡、桜餡、さらに抹茶餡や栗餡など、餡のバリエーションも豊富になり、さらに美しいラインアップが揃います。

 

歴史・由来

葛桜は、関西では「葛まんじゅう」と呼ばれることも多い和菓子です。

そもそも葛は、その昔は正薬としても使われており、滋養強壮に良い食品と言われています。

葛桜は初夏の和菓子ですが、梅雨が終わり、さらに暑くなる時期は、夏風邪も引きやすく体調を崩す人が多く、その時期に、葛を和菓子として食べることで、栄養を摂取できるということから広まったという説もあります。

エアコンなどもなかった昔は、夏の暑さをしのぐために、こうした水菓子を取り入れることも多かったようです。清涼感溢れる上に見た目も美しい葛桜は、暑い時期にホッとする食べ物として好まれていたのでしょう。

葛と言えば吉野葛が有名ですが、本場の吉野葛を用いた葛桜もたくさんの和菓子店で作られるようになりました。

渡辺水巴が「幅更へて飛瀑けぶるや葛ざくら」と葛桜について謳った俳句も知られています。

イラスト:おいしそうな葛桜

 

風味・味

葛桜は、外側の葛餅自体は味が付いていないものが多いです。葛本来の持つプルンとした舌触りを楽しむ、シンプルな風味です。

中の餡は、抹茶餡や栗餡などであれば、餡の甘さにそれぞれの食材の風味と香りも加わります。葛が甘くないので、甘過ぎることもなく、ツルンといくつでも食べてしまそうになるでしょう。あっさりとした水菓子と言えます。

さらに、葛餅を包んでいる桜の葉は、塩漬けされていることがほとんどです。桜の葉も一緒に食べることができますが、食べずに風味を楽しむ人も多いでしょう。餡の甘さと桜の葉の塩加減とで、ちょうど良い甘じょっぱい味付けになります。

また、餡に関しては、こし餡が主流で粒餡であることはほとんどありません。こし餡のサラサラとした歯触りとツルンとした葛餠が、舌の上で上品に溶けていきます。

 

和菓子分類

製法での分類:生菓子

水分量分類:蒸し物

 

主な材料

こしあん、砂糖、葛粉、桜の葉

※一般的な材料を記載しています。詳しくは製造元に問い合わせてください。

 

カロリー(概算)

1個(50g)で、110Kcal

 

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